料理は祈り、食卓は神聖な場

野菜を切る音、湯気の立つ鍋の中、
味見をして「うん」とうなずくその瞬間。
日々の台所仕事は、誰かに見せるためではなく、
誰かを思い、命をつなぐための小さな祈りなのだと思います。

火と水と手のぬくもりで“いのち”をつなぐ

台所で食材と向き合うとき、
私たちは自然の恵みを「いただく」準備をしています。

火であたため、水で清め、
手のひらで形をととのえる。

それはただの調理ではなく、
いのちのリレーを受け取り、自分や大切な人へ渡していく静かな儀式なのかもしれません。

できあがった料理を食卓に並べると、
その場には自然と目に見えないものが集まります。

育ててくれた大地や人の手、
作ってくれた自分自身の思いや時間、
一緒に食べる人へのあたたかい気持ち――

それらが一皿ごとに込められて、
食卓は小さな神聖な場となるのです。

私たちが毎日口にする「いただきます」という言葉。
これは単なる習慣ではなく、
命をいただくことへの感謝と敬意の祈りです。

一緒に「ごちそうさま」と手を合わせることで、
その食事の時間は静かに締めくくられ、
私たちの中に小さな浄化の余韻を残してくれます。

料理は祈り、食卓は神聖な場。

忙しい日々の中でつい忘れがちになるけれど、
心をこめて一皿をつくり、
「おいしいね」と分かち合えるその場所に、
見えない愛と光が宿っています。

どうか今日も、
台所と食卓を通してあなたの心に静かな祈りが届きますように。